20103月 WFF

(水産タイムス 2010年2月22日掲載分より)

 

ウーマンズフォーラム魚の「海彦クラブ」

こどもたちに“海とサカナ”を伝えつづけて10年

いま、日本に必要なのは「海とサカナへの感謝の思い」

 

◎「海彦クラブ」10年の記録

いのちのつながり、学んだよ。5000人の小学生が全国の漁村と交流。

 

(開催年)   (交流漁村)  (テーマ) 

2000年度/千葉県勝浦の浜「カツオ」

 東京都中央区立久松小学校、杉並区立杉並第六小学校、北区立滝野川第二小学校、板橋区立下赤塚小学校、板橋区立志村第二小学校、板橋区立赤塚新町小学校、千葉県勝浦市立郁文小学校

2001年度/宮城県女川町出島の浜「サンマ」「ホタテ」

 東京都北区立西ヶ原小学校、板橋区立志村第二小学校、板橋区立板橋第九小学校、女川町立女川第四小学校

2002年度/新潟県寺泊の浜「日本海の魚」

 東京都港区立芝小学校、品川区立品川小学校、北区立滝野川第六小学校、新潟県寺泊町立寺泊小学校

2003年度/静岡県東伊豆町稲取の浜「キンメダイ」

東京都北区立滝野川第五小学校、北区立谷端小学校、静岡県東伊豆町立稲取小学校

2004年度/富山県氷見市女良の浜「ブリ」

東京都中央区立月島第二小学校、大田区立入新井第一小学校、富山県氷見市立女良小学校

2005年度/富山県新湊の浜「ベニズワイ」

 東京都北区立滝野川第三小学校、足立区立皿沼小学校

2006年度/千葉県木更津・富津の浜「アサリと海苔」

 東京都三鷹市立南浦小学校、大田区立洗足池小学校

2007年度/福島県いわき市久之浜「太平洋の魚」

 東京都杉並区立高井戸小学校、板橋区立高島第五小学校、大田区立久原小学校(クジラ)

2008年度/新潟県新潟市松浜「サケ」

 東京都世田谷区立松丘小学校、葛飾区立木根川小学校、新潟県新潟市立松浜小学校

2009年度/東京都八丈島の浜「ムロアジとトビウオ」

 東京都文京区立根津小学校、三鷹市立第七小学校、練馬区立南町小学校、小平市立小平第六小学校、中野区立大和小学校、八丈町立三根小学校

 

◎「こどもフォーラム」では、スゴい博士やアコガレの先生方が

ステキなお話しをしてくれました!(肩書きは当時)

 

2000 中村幸昭先生(鳥羽水族館館長)

2001 池上 彰先生(NHK「週刊こどもニュース」お父さん)、マウンテンマウス(漁師の兄妹デュオ)

2002 大野一敏先生(東京湾の漁師さん・千葉県内湾巻網組合長)

2003 さかなクン(イラストレーター、千葉県立安房博物館客員研究員)

2004 椎名 誠先生(作家)、荒馬座(民族歌舞団)

2005 千石正一先生(動物学者)

2006 輪島功一先生(元WBA世界ジュニアフライ級チャンピオン)

2007 福岡伸一先生(分子生物学者・青山学院大学教授)

2008 宇津木妙子先生(ルネサス高崎女子ソフトボール部総監督)

2009 高成田享先生(朝日新聞さかな記者・石巻市支局長)

 

◎上記のほかに次の浜からも「浜のかあさんと語ろう会」の講師として

おこしくださいました。(市町村名は当時)

 

北海道釧路市、知内町、青森県東通村、宮城県石巻市、女川町、牡鹿町、

茨城県鹿島地区、千葉県船橋市、東京都内湾、和田町、富山県朝日町、

静岡県焼津市、和歌山県太地町、愛媛県宇和島市、山口県阿武町、

長崎県長崎市

 

 

海彦クラブって何でしょう? 

それは、海とサカナを漁師さんが大好きなこどもたちのネットワークです。

 

“おサカナを食べる”とは、大いなる海の生命をいただくこと。

「海彦クラブ」は、小学生が海の生命を肌で感じ、海に囲まれた島国・日本のすばらしさに目覚めるために1年をかけて行う特別プログラムです。これまで10年間、全国の漁村と東京のこどもたちを結んで活動してきました。そして約5000人のこどもたちが海とサカナと漁師さんが大好きになりました!

 

「浜のかあさんと語ろう会」 

東京の小学校へ女性漁業者をお招きして開催する授業です。浜でとれたばかりの新鮮な魚が教材です。頭のついた魚を初めて見るこどもたちは、魚をさばいて血が出るだけで大騒ぎ。けれども出刃包丁を握らせ魚さばきを教えてゆくと、とても立派にさばくようになります。そして自分で作った初めての魚料理に心から感激しおいしい!を連発するのです。

 

「こどもとサカナ体験ツアー」 

浜のかあさんの授業を受けたこどもたちのなかから感想文で選ばれた“こども記者”が、漁村の暮らしを実地に取材して広く世の中に報告するものです。早朝の起床に始まり、揺れる漁船での漁の仕事、網つくろいや漁具の手入れ、セリや出荷のようす、土地の魚料理や加工品づくりなどを丸ごと取材します。こども記者は寝る間も惜しんで漁師さんに質問を繰り返すのです。

 

「こども・海とサカナのフォーラム」 

こども記者が、漁村での取材成果を東京で報告します。朝日の美しさに感激したこと、浜でごちそうになった魚料理のおいしさ、漁師さんの仕事ぶりを芝居にして再現したり、パワーポイントを使って報告したりと、こどもたちが小さなジャーナリストとして活躍するフォーラムです。毎回、全国のこどもたちから「海とサカナを守るための宣言」も多数寄せられます。

 

<白石代表のコラム>

白石ユリ子 WFF代表のおはなし

「海と魚は日本の宝物。日本中のこどもたちに伝えましょう!」

 こどもたちが主役の「海彦クラブ」は、今年10周年を迎えました。これまで参加してくれたこどもたちは、みんな海や魚がとっても好きになってくれました。参加してくれたこどもたち、そしてご協力くださった皆様に感謝を申し上げます。

私が「海彦クラブ」で小学生と漁村を結んできたのは、漁業を理解するにはこどもたちが具体的に学び、体験するしかないと考えてのことでした。漁業は農業と違い、浜に行っても見えない産業だからです。こどもたちには漁村の歴史や文化にふれることも目的のひとつとし、さらに見たことや感じたこと、考えたことを整理して発表し、体験を知識に変えていくことを最終の目標としました。こどもたちは、大人が考える以上に立派に活躍してくれて、大きな手ごたえをいただく10年間でした。これからも「海と魚は日本の宝物」と、みんなで日本中のこどもたちに伝えつづけていきましょう。

(しらいし・ゆりこ/北海道生まれ。出版社で日本人の伝統文化・生活文化に関する書籍を多数編集する。1993年にウーマンズフォーラム魚を発足させ、生産者と消費者が一緒になって“漁業と魚食文化”未来を考えるネットワークづくりを提唱している。)